【コラム】大国インドとの交易拡大はプラスかマイナスか(第4回)

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交易拡大に対するナショナリズムの壁


隣国が大国である場合、その距離のとり方に苦心をするのは世界中どこでも同じことなのでしょう。
巨大なインドと対峙する島国スリランカにとっても、インドに飲み込まれたくはないが、経済成長のためには付き合いを深くしたいという悩みがあります。
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インドとの包括的経済連携協定(CEPA)に関するスリランカ国内の議論について、カメハメハ倶楽部提携のスリランカ経済誌「ECHELON」に掲載された特集記事を翻訳・再編集してお届けします。

連載最後の第4回は、他国との交流拡大を考える上で、経済的利益だけでは割り切れない問題として浮上するナショナリズムについてを中心にご紹介します。
<第3回はこちら

出典:The Anti-CEPA Lobby’s Twisted Trade Argument(ETHELON MAY 2015)

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CEPA/FTAの反対者は、インドのスリランカに対する10億米ドルをやや上回る投資及び、パイプラインでの10億米ドルの投資についてほとんど不満はない。CEPAの下で、スリランカは投資の準備段階から、インド企業が国内の企業と同じ地位を得ることを約束した。

しかし、インドからスリランカのある分野へ投資することを許可するかどうかについては、スリランカ側はケース・バイ・ケースで決定することができた。これは、動産・不動産、株式、株・社債などを含む広い範囲の投資に及ぶ。また投資開始前、開始後を通じたすべての期間が、CEPAの適用範囲である。一方で、課税、インセンティブ、補助金、政府調達などは、政治的自由のためCEPAの対象から除かれた。

残された問題点

FTAの成功とCEPAの保護条項にかかわらず、反対派はCEPAがスリランカを救う可能性を信じない。根本的な問題は信頼の欠如である。CEPA反対派はマヒンダ・ラージャパクサ前大統領の動機を信頼せず、CEPAを行き詰まらせた。CEPAを活用しスリランカ経済に利益を与えるためには、政策立案者は信頼を形成する必要がある。CEPAが反対されるのには理由もある。製造業者の中にはインドのお役所仕事に損害をうけた者もいるし、インドの輸入品によって損害をうけた者もいる。反対派は目的達成のためにデータを選択的に用いて恐怖心に訴え、スリランカの輸入業者や製造業者のインドでの成功を無視する。さらに悪いことに、国民が自分たちのために商品やサービスを選択する経済的自由を否定したがっているようでもある。反対派はナショナリズム的な手法を使うことが好きなので、おそらくスローガンは次のようなもののはずである。インド市民に与えるよりも、スリランカ市民である我々に与えよと。(連載終わり)■

バックナンバーは下からどうぞ。

 <Vol.1 包括的経済連携協定(CEPA)に向けて協議を再開
 <Vol.2 貿易自由化でスリランカが得たものとは?
 <Vol.3 大国相手の交渉で、引き出した譲歩

海外活用コラム 執筆:GTAC(2015年8月11日付)

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