なぜスリランカなのか?

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「日本人はまだ知らないが、世界では当たり前の重要国」すなわち日本人にとっての「ニッチ国」スリランカ。
では、なぜスリランカは重要国なのでしょうか。

スリランカでは、2009年に内戦が終結したあと、「平和の配当」を見越した発言が相次ぎました。

「(内戦終結後の)スリランカには素晴らしい投資機会がある」
「インドよりも、中国、スリランカに魅力を感じる」
と述べたのは、著名投資家ジム・ロジャースです。(2009年5月)
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=abTQKWXmD4A8

「スリランカは『インドにとっての香港』になるだろう」
これはHSBCのチーフストラテジストの言葉です。(2009年6月)
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=aYNQnC6f.ZBM

この発言から5年。スリランカは、堅実な高成長をみせています。
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そして2014年の現在、内戦終結による平和の配当というステージから、
その「地政学的優位性」に着目した世界経済における重要国として脚光を浴びています。

「環インド洋経済圏」のハブ国家

日本経済新聞社のスリランカ大統領インタビューにおいて、ラージャパクサ大統領はスリランカの今後について
「環インド洋経済圏のビジネス・ハブを目指す」と答えています。

スリランカ大統領「環インド洋経済圏のハブ目指す」
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM23002_Q4A730C1FF1000/

環インド洋経済圏とは、インド洋を中心としたオセアニアから東南アジア、南アジア、中近東、

環インド洋連合加盟国

環インド洋連合加盟国


そしてアフリカ沿岸までを含む経済圏です。
環インド洋連合(IORA)加盟国は、
スリランカ、オーストラリア、インドネシア、マレーシア、シンガポール、
タイ、バングラデシュ、インド、イラン、UAE、オマーン、イエメン、セイシェル、コモロ、
モーリシャス、マダガスカル、ケニア、タンザニア、モザンビーク、南アフリカの計20カ国です。

日本人には馴染みのない国も多いかもしれませんが、この経済圏が非常に注目をされています。
2010年の当該地域の総人口22億人は2040年には30億人になると言われ、世界のGDPに占める割合も
12%に拡大し世界の経済成長の中心になるとみられています。この地域の隆盛のカギを握るのが
海上物流であり、その要衝であり中心に位置するのがスリランカです。スリランカは、積極的な
港湾開発・深港化に加え、政治・宗教も中立であり、自由でクリーンな経済運営、法規範をもって
いるビジネスセンターとしても注目されています。(蛇足になりますが、どれだけ世界が近く
なっても、大量物資や資源輸送は海上物流以外あり得ず、海上輸送拠点の重要性は増すばかりです)


コロンボ港

コロンボ港


「南アジアの玄関口」

スリランカは人口2千万人ではありますが、スリランカを玄関口とした南アジアを考えると大きな
市場が広がっています。合わせて15億人という巨大な市場であるインドとパキスタンに対して、
スリランカは自由貿易協定
を結んでいます。Indo-Lanka FTAでは4,232品目、Pkistan-Sri Lanka FTAでは4,686品目の関税
がありません。スリランカという政治・宗教が中立の国から南アジア市場を狙うというのは、
スリランカの投資庁も振興している施策です。事実、インドにおいては港湾キャパシティの不足から、
スリランカコロンボ港における積替え取引が急増しており、「南アジアは一つの地域」として
とらえるべきと考えられております。

「アジア開発銀行(ADB)の趙副総裁は、「コロンボ港はインド亜大陸の物流にとって極めて有利な
位置にある。深港化に伴いアジアと欧州を結ぶ東西航路の戦略的中継点として機能するとともに、
域内貿易も大幅に促進されるだろう」と述べている。実際に、コロンボ港はインド洋通過航路の主要
中継地のひとつである。現在、コロンボ港における収入の約 70%は、インドへの積替えによる収入
である。2000 年にインド-スリランカ間のFTAが締結されて以降、インド-スリランカ間の輸出入は
急激に増加してきた。2000 年に 58 百万USDであったスリランカからインドへの輸出は、
2012 年には 567 百万USDとほぼ 10 倍になった。」

           (引用:経済産業省レポートhttp://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2014fy/E004241.pdf

環インド洋経済圏という巨大市場の勃興、現段階でも南アジア市場への玄関口として機能する
スリランカは、「日本人はまだ知らないが、世界では当たり前の重要国」なのです。我々が考える、
スリランカの近未来は、「環インド洋経済圏のシンガポール」です。

さらに、日本人が進出を検討するにあたっても、スリランカは「行きやすい」国です。
その主な理由としては、

1)仏教国、親日国
2)英語でビジネスが可能
3)高い教育水準(識字率92%)、無償の教育
4)安全・清潔な都市、食事も美味しい
5)そして何より、日本人が少ない。まだまだファーストムーバーになれる可能性がある。
ということ等が挙げられます。

当然、これだけの重要国ですから、中国をはじめとする各国からの投資は進んでいます。
ところが、日本人のキープレイヤーは、まだまだ少数です。親日国スリランカでは日本からの投資を
待っている企業が多く存在します。ファーストムーバーにとっての魅力はまだあると言えるのではないでしょうか。

2014年9月7日、8日に安倍晋三首相がスリランカを訪問しました。日本の首相の訪問は24年ぶりです。
大統領と会談し、海洋安保での連携強化(スリランカは中東やアフリカからの海上輸送の要衝)、
中国へのけん制(ハンバントタ(南部の大統領出身地)の国際空港及び国際港開発は中国資本で
行われている)が狙いと言われています。海洋国家間の新たなパートナーシップの確認、
沿岸警備庁の人員育成、巡視船の供与検討などを表明し、本年3月に決定した地デジ採用に対しての
円借款137億円の決定などがなされました。

因みに、日本では大きく報じられていませんが、安倍首相の訪問直後の9/16に習近平中国国家主席が、
中国のトップとして初のスリランカ訪問を行いました。海洋安保の確認、FTAの締結方針、ルピー元の
通貨スワップ(3年/約17億ドル)、インフラ投資の促進などが決定されました。
我々の知らない(知ろうとしない)ところで、世界は動いています。

日本の投資家の皆さん。後れをとるわけにはいかないのではないでしょうか。
ホテル分野(スリランカを知るためのキーワード【ホテル】)をはじめ、機会はまだあります。
まずは、訪問ですね。いざ、スリランカへGO。